3日後の仕事終わり、水着に着替えてプールに行くと、既に真城が泳いでいた。以前話していたように泳いでみたかったようで、滑らかな動きで優雅に水面を進んでいる。しかし動作の割にはかなり速いスピードだった。真城が素早く動くところを見たことがないし、スポーツとかけ離れたイメージなので素直に驚いた。入念なストレッチをしながら、綺麗にクロールをする真城を眺めていた。
「意外ね。泳ぎ得意なんだ?」
端までたどり着いた真城に声をかけ、私も隣のコースに入った。
「昔やってたからね。」
「へぇ〜いっしょだ。何が得意?」
「フリー(クロール)かバック(背泳ぎ)かなぁ。美咲希は?」
「ブレ(平泳ぎ)は得意。あとはあんまり。」
「そうなんだ。ブレ得意なのいいな。」
水泳経験者同士の他愛ない話を楽しんだ後、私もゆっくりと泳いだ。仕事終わりの泳ぎに1人じゃないのは新鮮で、真城と2人きりになるのもあの日以来なので気分は高揚していた。横山さんの件があってから真城の気持ちが気になっていたが、いっしょにいる時間は居心地がいいし胸が高鳴る。一応ウォータープルーフのファンデーションを使っているが、ここまでしっかり泳げば終わる頃にはほとんど落ちているだろう。すっぴんを晒すのは恥ずかしいを通り越して申し訳なさすら感じるが、真城はむしろ喜びそうだし、とにかくいっしょにいる時間が欲しいというのが本音だった。
20分ほど泳いだ頃、真城はクタクタになったようで、プールの端に首をかけて休憩していた。大きく息をしながらゆらゆらと水に身を任せ、天井を眺めている。軽く休みながらとは言え、あのスピードで20分も泳げばかなりの距離になるので、頑張った方だろう。
「疲れた?」
「うん、久しぶりすぎて体力ない。」
なんだか無防備な姿が愛おしい。私はコースロープを潜って真城に近づき、そっとキスをした。不意討ちに驚いたようで少し恥ずかしそうに笑っている。普段大人っぽいから忘れてしまうが、この無邪気さを見るとまだハタチそこそこであることを思い出した。脱力したままの真城が浮かぶようにゆったり抱きついてくる。気まぐれで甘えてくる子猫のようで、そのずるさに胸が高鳴る。私は強く抱きしめ何度もキスをした。やがて真城の手がゆっくりと私の身体を撫で、すっと水着をずらした。
「えっ待ってここで!?」
「このまま。」
プールの端にしがみつき、身体が半分浮かんだ状態のまま後ろから真城が入ってくる。ゆらゆらとした中で真城を感じると、本当に全てが溶けていくようだった。現実も罪悪感も今だけは忘れさせてくれる。この瞬間がたまらない。私は既に溺れているのだ。真城にではなく、自分自身に。需要と供給が一致しているこの状況は、私にとっても真城にとっても都合がいい。あくまで日常に刺さる一点の毒であり、それが広がることはない。だからこそ今だけは絶頂を堪能できる。同時に果てた時、尚も妖しく光る真城の眼光に濡れ、何度も快楽が突き抜けた。
「意外ね。泳ぎ得意なんだ?」
端までたどり着いた真城に声をかけ、私も隣のコースに入った。
「昔やってたからね。」
「へぇ〜いっしょだ。何が得意?」
「フリー(クロール)かバック(背泳ぎ)かなぁ。美咲希は?」
「ブレ(平泳ぎ)は得意。あとはあんまり。」
「そうなんだ。ブレ得意なのいいな。」
水泳経験者同士の他愛ない話を楽しんだ後、私もゆっくりと泳いだ。仕事終わりの泳ぎに1人じゃないのは新鮮で、真城と2人きりになるのもあの日以来なので気分は高揚していた。横山さんの件があってから真城の気持ちが気になっていたが、いっしょにいる時間は居心地がいいし胸が高鳴る。一応ウォータープルーフのファンデーションを使っているが、ここまでしっかり泳げば終わる頃にはほとんど落ちているだろう。すっぴんを晒すのは恥ずかしいを通り越して申し訳なさすら感じるが、真城はむしろ喜びそうだし、とにかくいっしょにいる時間が欲しいというのが本音だった。
20分ほど泳いだ頃、真城はクタクタになったようで、プールの端に首をかけて休憩していた。大きく息をしながらゆらゆらと水に身を任せ、天井を眺めている。軽く休みながらとは言え、あのスピードで20分も泳げばかなりの距離になるので、頑張った方だろう。
「疲れた?」
「うん、久しぶりすぎて体力ない。」
なんだか無防備な姿が愛おしい。私はコースロープを潜って真城に近づき、そっとキスをした。不意討ちに驚いたようで少し恥ずかしそうに笑っている。普段大人っぽいから忘れてしまうが、この無邪気さを見るとまだハタチそこそこであることを思い出した。脱力したままの真城が浮かぶようにゆったり抱きついてくる。気まぐれで甘えてくる子猫のようで、そのずるさに胸が高鳴る。私は強く抱きしめ何度もキスをした。やがて真城の手がゆっくりと私の身体を撫で、すっと水着をずらした。
「えっ待ってここで!?」
「このまま。」
プールの端にしがみつき、身体が半分浮かんだ状態のまま後ろから真城が入ってくる。ゆらゆらとした中で真城を感じると、本当に全てが溶けていくようだった。現実も罪悪感も今だけは忘れさせてくれる。この瞬間がたまらない。私は既に溺れているのだ。真城にではなく、自分自身に。需要と供給が一致しているこの状況は、私にとっても真城にとっても都合がいい。あくまで日常に刺さる一点の毒であり、それが広がることはない。だからこそ今だけは絶頂を堪能できる。同時に果てた時、尚も妖しく光る真城の眼光に濡れ、何度も快楽が突き抜けた。
