イノセント*ハレーション

あたしが出るのは男女混合ドッヂボールのみ。

どうせ戦力外だから、ほぼ運動をしないで1日が終わりそう。

なんて思ってダルそうにストレッチをしていると、ドッヂボールで心外にも被ってしまった彼に話しかけられた。


「凪夏ちゃん」

「どうも」


昨日結構込み入った話をして不穏な空気になったというのに、プリンスマイルでこちらを見てくるものだから、度肝を抜かれた。


「テキトーは良くないよ。なんなら手伝ってあげようか?」

「そういうの止めな。好きでもない女子にむやみに触れるとかセクハラだから」

「おっと~、そう来たか」

「どういう角度から来ても対応する。あたし、女子達に変な勘違いされるの嫌だし」

「変な勘違いって?」

「言わなくても分かるでしょ?英語も話せるくらい優秀なんだから」


湧水くんは、はははっと高らかに笑った。

それで、一挙に視線が集中し、あたしは咄嗟に彼から離れた。

が、あたしは移動先に人がいるのを忘れていて今度はそちらと接触してしまった。


「痛っ」

「あ、ごめん」


昨日の朝話して以来、まともに顔も見合わせていなかった弓木くんもドッヂボールのメンバーだったことをすっかり忘れていた。

昨日2試合一緒に戦ったというのに忘れているとは、昨日の自分はつくづくどうかしていたのだと思う。


「あのさ、雨谷」

「ん?何?」


言いながら湧水くんの方を見ると、あたしが離れてその周りには桜川グループが取り巻いていた。

人気者は大変だなぁと他人事にしか思えない。


「雨谷、聞いてんの?」

「ううん。聞いてなかった」

「んだよ、それ。全然悪びれてねーし」

「悪びれるべき?」

「別に強要はしてないけど」

「なら、ごめんは飲み込む」