イノセント*ハレーション

日葵達と途中まで一緒に帰ろうと誘われたけれど、あたしはバイトを理由に一足早く教室を出た。

バイトというのは嘘なんかではなく、18時から21時まであたしは働いた。

帰りに店で栄養ドリンクを買うと、チャラバイト先輩...榎本くんにジロジロと顔を見られた。


「どこか具合でも悪いの?」

「体育祭で疲れたんです。明日もなんで栄養取っとこうと思って」


なんて言うと、彼なりに心配してくれたんだろう。

昔のカノジョが好きだったとか余計なことを言いつつも、もう1本栄養ドリンクを買ってくれて、プラス疲れた時には甘いものということであたしの好きな羊羮をご馳走してくれた。

一応先輩なので"ありがとうございます"と頭を下げて店を出た。

今日は店長不在だし、21時上がりだから電車とバスで家まで急ぐ。

電車を降り、閑散とした駅前を感傷的な気分で通り過ぎ、住宅地に入った。

東京でも田舎の方の地域だから、空を仰げば星が見える。

1つ1つ輝きも明度も違うけれど、夜空という大きな舞台ではそのどれもが個性として光っていて美しい。

感情だってそう。

1人1人、同じ名前をつけられる感情だってその度合いもその表現の仕方も違う。

けれど、どれも大切で、

どれも間違いなんかじゃない。

それに...要らなくなんてない。

要らない感情なんてないんだ、きっと。

そう、分かってる。

そう、知ってる。

でも、そう思えない自分がいるのもまた事実であたしは今どうしたら良いか分からないんだ。


「はぁ...」


ため息をつき、これじゃいかんと思ったあたしは、コンビニの袋から自分で選んだ方の栄養ドリンクを取り出し、ぐいぐいっと一気飲みした。


「うぉー。効いてる気する」


栄養ドリンク片手に夜道を歩く女子高生という肩書きの自分を誇りに思いながら、あたしは家を目指して歩いた。

帰ったらお風呂に入って寝る。

寝て起きたら、新しい自分になれていることを星に願った。