イノセント*ハレーション

ーーピーーッ!


ホイッスルが鳴った。

黒板の上の掛け時計をちらりと見る。

時刻は12時5分。

試合終了だった。


「どういう意味?」


あたしは湧水真昼目掛けて一直線に視線をぶつけた。

彼はお得意の唇の左端を上げる不敵な笑みを浮かべる。

お互いに探る。

本音を言わせるための突破口を。

でも、それは直球勝負でしか解決しないことをあたしは知っていた。

沈黙が張りつめ、さすがのあたしも呼吸が苦しくなり、目眩さえ起きそうになりかけているところで、湧水くんは口を切った。


「日葵と澪夜のダブルスを見終わったあたりから、凪夏ちゃんの様子が変なことくらい分かるよ。だから、澪夜のこと意識してるから、見られなくなっちゃったのかなぁって思って」

「別にそんなんじゃない」

「じゃあ、凪夏ちゃんはなんで今ここにいるの?」

「だからそれは暑くてバテたからで...」


あたしの言葉に王子様の整った顔がみるみる崩れていく。

あたしには分かった。

今、湧水くんは...イラついてる。

怒ってる。

はっきりしない、あたしに対して。

やがて湧水くんは痺れを切らし、口を切った。


「難しいようだから、単刀直入に聞く。凪夏ちゃんは...澪夜のことが好きなの?」