イノセント*ハレーション

あたしがふーっと息を吐き、窓の外を見つめると、グランドではうちのクラスの次の組の試合が行われていた。

半袖短パンの男子達が砂ぼこりを上げて必死にボールを追いかけている。

遠くから眺めているのに、まるで目の前で見ているかのように、光景が脳裏に映る。

残像が呼び起こす想像で、彼らは汗を流し、星屑のようにキラキラと輝きながら走って走って走る。

これが青春ってやつか。

あたしの喉がオレンジジュースを欲した。


「ところでさ」


湧水くんがあたしの席の後ろの自分の席に腰をかける。

カタンッと椅子を動かす音がして、あたしは振り返った。

彼は左手で頬杖をついて、前のめりにこちらを見ていた。


「さっき、サッカーの試合見に来てなかったよね?」

「ずっとここで涼んでた。暑いのも人混みも苦手だし」

「ふーん...」


彼は右手の人差し指を立てて机の上でくるくる回す。

どうやらあたしの返答が気に食わないみたい。

だからといって面白い答えを返すことも出来かねるのだけれど。

あたしが手うちわで風を送っていると、彼は再び口を開いた。


「その理由に嘘がないとして、別の理由があるとするならば...」


彼が上目遣いに視線を送る。

その瞳の奥に感情が見えた。

彼の言わんとしていることが読み取れてしまう不思議にあたしは内心驚いて背中に冷や汗が流れた。


「澪夜だよね?」