イノセント*ハレーション

あたしは午後の競技まで暇だったため、教室に戻ってきた。

何をするということもない。

ちょっと一息着きたかった。

だけど、残像がそれを許してくれない。

日葵がポニーテールを揺らし、彼にニコニコと笑いかけている姿を思い出すと、胸がぎゅうっとなって呼吸が苦しくなる。

どうしてそうなるのか、おおよそ予想はついている。

だてに少女マンガを読んでいたわけではない。

絆奈の趣味に合わせているうちに、あたしだって、色んなことを知ったんだ。

色んな感情を知ってしまったんだ...。

でもなんでこのタイミングなのだろう。

今までだって、何度も、

何度も2人を見てきたのに。

それでも何とも思わなかったのに。

憧れという遠い存在に、あたしは近付きすぎてしまったのだろうか。


「ほんと...痛い」


暑さと熱さと痛みに悩まされ、自分の机に突っ伏していると、グランドの方からホイッスルの音が聞こえてきた。

11時開始のサッカーの試合が始まったのだろう。


はぁ...。

こんな状況で、

見られるわけないじゃん。


恋だとか、愛だとか、あたしには要らないこと。

そんなのあっても無意味なこと。

それは過去の両親を見ていればすぐに思い付くあたしなりの答えだった。

だけど、今、あたしには

そう思えて仕方ないけど、

それを防ぎようもないことも分かってしまった。

どうしよう...。

なんか、あたし...変だ。


「あぁ、気持ち悪い...」