イノセント*ハレーション

「頑張れ!日葵~、澪夜く~ん!」

「ひまりーん!澪夜~!おれの分まで頑張れ~!」


途中で戸塚くんと合流し、あたし達はフェンス越しに熱い試合を応援した。

とは言っても、あたしは木陰で涼みながら大声も出さずに、だけど。

通常の試合とは違って1試合15点先取制のため、うとうとしているとあっという間にマッチポイントになっていた。

日葵弓木ペアが2点優勢の状況。

ここで打ち返せば、確実に勝てる。

あたしは、なんとか目をこじ開けてその瞬間を見守った。


相手の力強いサーブに対し、前衛の日葵が打ち返し、その後も何回かラリーが続いた。

そして遂に...その時は来た。


ーーパコンッ!


「ゲームセット~!」


テニス部顧問でハスキーボイスが自慢の古森先生の声がコートを越えてグランド中に響いた。


「おっしゃ!勝った!」

「日葵も澪夜くんもすごいっ!さすがっ!」


自分のことのように喜ぶ2人を横目に見ながら、あたしは呆然と拍手をした。

その拍手を掻き消すかのようなパチンっという清々しいハイタッチの音が鼓膜を震わせる。

日葵と弓木くん...

運命の2人なんて表現するのは、らしくないのかもしれないけど、

あたしがそう信じて疑わない2人は、

やはりやってくれた。

見せてくれた。

あたしに宝石より何倍も美しい景色を。