イノセント*ハレーション

長くて短い5分間だった。

終わった後ははぁはぁと荒い呼吸が四方八方から聞こえて来たけど、今はもう静まり返っている。

残念ながら結果は予選敗退。

あたしも皆も特に大きなミスはなかったものの、そもそも跳ぶリズムがミリ秒遅かった。

あたし達の組で準々決勝に進んだのは、まさかの1年生チームだった。

優勝候補と言われていた3年2組との差はわずか2回。

で、あたし達はというと、22回も差が付いてしまった。

もうここまで差が付くと涙さえも浮かんで来ないのだけれど、さすがは熱血クラス。

戸塚くんを筆頭に男子陣は半袖ジャージの裾で涙を拭い、女子達は抱擁して泣いていた。


「皆良く泣けるよね」

「ふふ。それ、私も思った。私達冷めてるのかな?」

「かも」


泣きわめいている人達は無視して、あたしと鶴乃さんはほぼ同時に始まった日葵と弓木くんのテニス男女ダブルスを見に来た。

日葵弓木ペアの相手は3年生。

日葵は身長150センチと小柄だけど、体力はあるし、ちょこまかと動けて瞬発力に長けている。

鶴乃さん情報によると、日葵のお母さんは学生時代にテニス部だったらしい。

今回のダブルスの話を聞いて、2人の家の近所の市民スポーツセンターで、日葵ママを交えて3人で猛特訓したのだとか。

それだけあって息はピッタリだし、赤い糸で結ばれている2人なのだから、見ていて安心する。

この2人ならやってくれる。

そう、心の底から思える。