イノセント*ハレーション

9時半に無事体育祭の開会が宣誓され、あたし達は出場する種目ごとに散り散りになった。

あたしの最初の出番は大縄だった。

大縄跳びは、普通に8の字で跳んでいき、その回数が多いチームの勝利となる。

制限時間は5分。

バレーとバスケ、ドッヂボールが午後から控えているため大縄は午前のうちに準々決勝までの試合を消化する。


「皆、肩の力抜いて。今まで練習頑張って来たんだから絶対大丈夫!いつも通りで行こう!」


戸塚くんがメンバー12人に声をかける。

こういう時の戸塚くんは本当に頼もしい。

男らしくて前向きで明るい。

それが彼の魅力だ。


「つるのん、ガッチガチじゃん。リラックスリラックス~」

「でも、心臓バクバクいって、口から出ちゃいそうだよ...」

「んじゃあ、一緒に深呼吸しよう」


鶴乃さんに声をかけ、一緒に深呼吸を繰り返す戸塚くん。

温かく優しい眼差しからは鶴乃さんへの愛しさが感じられる。

鶴乃さんが心配で

鶴乃さんの力になりたい。

その気持ちが彼をこんなにも突き動かしているのだと気づいた。

あたしも真似して数メートル離れたところから深呼吸をし、バクバクしていた心臓を落ち着かせた。

そして、いよいよその時がやって来た。


「では、予選3組目、え~1年2組、1年5組、2年1組...」


あたしが跳ぶのは真ん中の5番目、その後が鶴乃さん。

ミスしないように、気を張らずとも、結果は狙って...行こう。


「それでは始めます。よ~い、ピーッ!」


教頭先生のホイッスルの音と共に縄が大きく弧を描いた。