そして、今日も...

着付けをやってくれたり、あたしの短い髪を可愛くアレンジしてくれたり...

祖母の笑顔が見られたのだから、やはり花火大会に行くという決断をしたあたしは正しかったのだと思う。

あたしは慣れない格好をして歩きづらい下駄をカタカタと鳴らしながら待ち合わせ場所までやって来て、やはり今回も1番乗りで待つことになった。

星白花火大会はあたし達の学校の近くの河川敷で行われる。

皆よりも遠くから通っているあたしはとにかく遅刻が怖いからいつも余裕で到着出来るように早めに出る。

よって今日は20分前到着。

家族連れやカップル、学生の集団は遊園地に行った時にも見たけれど、雰囲気がまるで違った。

多くの人が浴衣姿だからだろう。

髪型も個性的な人が多い。

花火大会って、なんか色々自分史上に残るような特別な出来事が起こりがちなんだよね。

複数人数で来たはずなのに、いつの間にか2人きりにされ、そのまま花火を見ることになり...

勢い余って告白してしまう、とか。

チンピラに絡まれているところを助けてくれた人を好きになってしまう、とか。

少女漫画が好きだったあたしのかつての親友...絆奈の影響であたしはそんな妄想をしてしまう。

でも、あたし自身がそんなシチュエーションを望んでいるわけではない。

あたしに特別なことなんて起きなくていい。

穏やかで楽しければそれが1番。

それ以上を願っても叶わないのならば、願わない方が良い。

エネルギーの無駄遣いになるって分かってるなら回避すればいい。

そうやって生きた方が楽だ。