あたしは乗り遅れないように全力疾走で去っていく彼の後ろ姿を見送った。

急いでホームの自販機で買って持ってきてくれたってことがありありと分かるキンキンに冷えたペットボトルを、あたしは首に当てた。

首は冷えたけど、体の芯はまだ火照ったまま。

この熱の由来を感じれば感じるほどに胸の奥がチクリと痛む。


「あぁ...ダメだ」


暑い、熱い、

痛い、痛い。


「バカだな、あたし...」


こんなんで振り回されるほど、自分の心は柔じゃないと思っていたのに。


早く...帰りたい。


胸に渦巻く、得体の知れない...知りたくない感情があたしをあたしじゃなくする前にとにかく帰りたかった。

ようやく走り出した電車の中で何度か口に含んだ水はどこかいつもより甘く感じた。


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20×2年7月27日

天気晴れ

遊園地楽しかった。

けど、なぜか不思議な気持ちにばかりなる日だった。