イノセント*ハレーション

「ごちそうさまでした」

「お粗末さまでした」


あたしはそう言うと覚悟を決めて、夏海ちゃんの手を握った。

あたしより少しこんがりと色づいた柔らかくて小さな手のひらから、少し気持ちが伝わってきた気がした。

あたしは深呼吸を1つして話し出す。


「夏海ちゃんは今日のお昼は何を食べる予定だったのかな?」

「オム...ライス...」

「パパとママとみふゆちゃんと食べるはずだったんだよね?」

「うん。レストラン混んでたから、並んで待ってたの...。でもわたし抜け出して来ちゃって...」


夏海ちゃんの瞳から1粒思いの欠片がこぼれ落ちた。

あたしは大丈夫、大丈夫と念じながら夏海ちゃんの頭をそっと撫でる。


「もう分かるよね?夏海ちゃんが今しなきゃならないこと」


空腹になるとイライラしがちだけど、今はお腹も多少は満たされてさっきよりは冷静になってる。

だから、大丈夫。

お握り効果でどうか...

どうか歩き出せますように。


あたしがそう願いを込めた...その時だった。