イノセント*ハレーション

人の波に流されるままに入場券を購入し、あたしたちは予定よりも30分以上遅れてなんとか中に入った。

「最初は何に乗ろうか~」と日葵が聞いてきたけど、おそらく聞くまでもない。

入場と共に日葵劇場が開幕したのだから。

それに歯向かうとすれば...該当者は彼だけ。


「やっぱり最初はジェットコースターだろ?」

「え~!最初は体慣らしにメリーゴーランドとかコーヒーカップとか、そういう優しいのから乗るでしょぉ?」

「ノンノンノン。甘いねー、ひまりん。最初の一撃が肝心なんだよ!いかにインパクトのあるスタートダッシュを切るか、いかに勢いをつけられるか。それで今後の運命が決まるんだよ!」

「でもやっぱり最初から絶叫系は...」


などと議論を繰り返す、日葵と戸塚くん。

精神年齢が若いっていいね。

中身は30歳くらいのあたしは争う気さえしない。

頭に血が上ったら倒れる。


「2人とも早く決めて。どれにせよ並ばなきゃなんだから」


鶴乃さんが2人の保護者みたいなもの。

そして、あたしと彼は傍観者。

彼はぼんやりと明後日の方向を見つめている。

眠そうだし、そっとしておくか。

となると、あたしのやることは特にないので近くに発見したコインロッカーに重い荷物を預けに行った。