スーハーと深呼吸を1つした後、あたしは口を切った。


「色々あったんだよ、あたしにも。それが今日やっと清算出来て、やっと...やっとあたしが思い描いていた未来が顔を出したんだ。それが嬉しい。

...でも、あたしにはまだ後悔があって、それはきっと...ずっと後悔する。それを...受け止めて前に進んでいこうって、そう思い込む。あたしさ、多少カッコ悪くても筋は通したいんだ。あたしに二言はないから、だから...」


"君には言わない"


そう言おうとした時、

あたしの瞳から零れそうになった流星を掬う長い人差し指が映った。

あたしが視線を上げると、彼もこちらを見ていた。

沈黙が洗濯機の音をさらに大きく鮮明に聞こえさせる。

うるさい。

うるさい...。

うるさい。

あたしの、鼓動...。

沈黙を壊したくて何か口にしようとした時、代わりに彼が口を動かした。


「雨谷はなんでそんなに強がるんだよ...。カッコ悪くていい。泣いたっていい。だって、それも...雨谷だから」


強がってない。

カッコいいなんて思ってない。

今、泣いてる。

全部、あたし。

分かってる。

分かってるけど、

あたし、不器用だから、

君の前でしかこんな風に出来ない。

でも、君には大切な人がいて、

あたしが弱さを見せられる唯一無二の人というカテゴリーには分類出来ない。

君は日葵のカレシで、

これからだって、

運命の導きで、

ずっと、

これ以上、

近付くことは

ない。


あぁ、もっと、

もっと、もっと、

もっと、もっと、もっと

君が近ければ良かった。

あたしの手で掴めるくらいの距離にある存在だったら、良かった。