イノセント*ハレーション

矢吹くんはあたしには初めて、絆奈には2回目の打ち明け話をしてくれた。

鈴木から矢吹になったのは、両親が離婚したから。

その原因はやはりあの事件だった。

自分の息子がストーカー行為をし、女の子を傷付けようとしたことがショックで彼の母親は心を病んでしまったらしい。

支離滅裂なことを言い、話し合いなど出来ないまま、彼の両親は離婚したという。

その後、父親に引き取られた彼は父の旧姓である矢吹を名乗るようになった。

彼は都外の学校に通っていたため変な噂は立たず、穏やかに日々を送っていた。

しかし、彼は忘れられなかった。

自分の犯した罪は胸に深く深く刻まれ、悪夢を何度も見た。

彼は自分に出来ることを考えた。

そして、決心した。

あたしと絆奈にもう1度会いに行くことを。

絆奈のストーカーをしていた時に、あたしと絆奈が純光を受験しようと話していたことを思い出した。

純光に入学出来れば会えるかもしれない。

会って謝らなければならない。

彼はその心で自分を奮い立たせ、死ぬ気で勉強した。

結果は見事合格。

入学式であたしの名前を発見したけど、ポニーテールだった髪をばっさり切ったあたしを見つけるのは結構難しかったらしい。

あたしを初めて見かけたのは、日葵から鶴乃ちゃんと弓木くんとあたしが食堂で初めましてを交わしていたあの日だったという。

彼は鶴乃ちゃんと弓木くんと同じ弓道部に入ればあたしのことを探れると思って弓道部に入った。

あたしがウサギと戯れているのも知っていた。

いつ話しかけようか迷いに迷い、月日は流れ、去年のクリスマス。

あたしが紅野さんと対峙し、打ちのめされた瞬間を物陰から見ていたらしい。

あたしと絆奈を引き裂いてしまったことを深く後悔していた彼は、決意した。

あたしと絆奈を仲直りさせるために、

絆奈を本当の意味で幸せにするために、

自分が動くんだ、と。

彼は文化祭の一般公開に絆奈を誘うため、女子校なのに構わず会いに行った。

絆奈は彼の変貌ぶりに最初は気づかなかったみたいだけど、彼から中学時代の過ちに対する謝罪を受け、心を動かされた。

絆奈は紅野さんにも付き添ってもらい、彼も交えて3人で話し合いをし、今日ここに来ることを決意したのだった。