イノセント*ハレーション

絶体絶命の状況に陥り、あたしの脳はさらに不器用になった。

あたしの脳から送られてきたのは、記憶と意思。


ーー凪ちゃん、笑って。

ーーわたし、凪ちゃんの笑顔が大好きなんだよ。


あたしも。

あたしも、好き。

絆奈の笑顔が...大好き。

だから、守らなきゃ。

これ以上辛い想いされたくない。

泣かせたくない。

笑ってほしい。


だから...っ!


「もう止めてっ!」


あたしは叫ぶのと同時に手を出していた。


「うわっ...」


彼が階段から転がり落ちていく。

ドンッと鈍い音がして、彼の動きは止まった。


「嘘...」


あたし、

あたし、

あたし、


どうしよう...。


彼に関する最後の記憶は、

頭から鮮やかな赤い血を流した姿だった。