イノセント*ハレーション

あたしは女子Aチームの次のステージまでの1時間、みっちり練習した。

ダンス動画を2回見ておおよその振り付けを覚え、基本的なステップ、フォーメーションの移動など7人態勢のダンスは結構大変だった。

日葵に"何でそんなに踊れるの?"って聞かれたから答えてあげた。

中学校のダンスの授業でやったからだよ、って。

本当はそれだけではない。

あたしはこの曲を歌っているグループのファンだった...あの子に誘われて中学の時の文化祭で踊ったことがあったから。

今回の曲ではないにせよ、頭の中になんとなくのイメージが湧いてきて、記憶をなぞるように踊っていたら、なんとか様になったという感じだ。

あたしは松崎さんの衣装を身につけ、ステージへと立った。

黒板の前、教壇の中央に立つなんて初めてだ。

不思議と緊張はしていない。

もうやるしかないって、それだけだから。

こんな恥ずかしいことも1回きり。

そう考えたら、自然と手足が動き出した。

完璧とまでは行かない。

松崎さんの代わりには到底なれない。

あたしは日葵みたいにキラキラもしていないし、松崎さんのようにチア部でもないダンス初心者なのだから、ダンスが底抜けに上手いはずもない。

それでも踊れたのは、あの子に届けたかったから。

あたしの想いをダンスに乗せて、

今どこで何をしているのか分からないけど、

でも、やっぱり大切な友達に...

届けたかったから。

忘れられない。

なら、忘れない。

あたしは一生忘れない。

後悔も過ちも真っ黒い感情全て背負って生きていく。

その先の奇跡を信じて...。