イノセント*ハレーション

「凪夏ちゃんって明日誰か来る?家族とか、小中の時のお友達とか」

「あぁ、うん。誰も来ないかな。お母さん仕事だし、おばあちゃんは足腰悪いし。それに...」


友達とは絶交ってことになってるし。

居場所が分かっていても、あたしは誘いに行けなかった。

あれ以来、あなしは本当に1度も絆奈に近づいていない。

絆奈のことを思うなら、忘れて。

そう言われて、あたしもそうした方が良いのかもしれないと納得して、忘れるように今まで努力してきた。

完全に忘れることは出来なくても考えないようにすることは出来る。

あたしは思考から絆奈の名前を追い出した。

だから、もう私と絆奈は

無関係な人、なんだ。


「凪夏ちゃん?」

「あ」


また、だ。

あたしはまた思考に走ってしまっていた。

ぼんやりすることが明らかに多くなった。

生産性のない無意味なこと。

そう頭では分かっていても、その脳自体がもう一方の思考を止めてくれない。

だからあたしは、毎度毎度、こんな風に人の話を聞かないで...。

あたし...変だ。

もうなんかずっと変だ。

あたしがあたしじゃないみたいだ。

ってか、本当のあたしって何?

本当のあたしってどこにいる?

なんて、アイデンティティの問題に発展しかけたところで、あたしはふっと我に返った。

鶴乃ちゃんと目が合う。

先に口を切ったのは、鶴乃ちゃんだった。