イノセント*ハレーション

そんな2人と分かれ、1人帰り道を急いでいるところで、ようやくお目当ての2人を見かけた。

彼らが行く、あたしが帰るで、一本道。

すれ違い際に日葵があたしを見つけてしまったら、彼に抱きつくより先にあたしに抱きついてしまうだろうということは容易に想像がついたので、あたしは引き返して木陰に隠れた。

2人はもちろん浴衣姿。

身長差はざっと見25センチ。

この距離を越えられるのか、否か...。

ってか、あたし何やってるんだろう。

盗み見て楽しんでるとか趣味悪過ぎ。

人道に反する行いだ。

自分の珍行動にため息をふ~っとついていると、ようやく彼らが石段を登りきった。

そして...彼が立ち止まる。

彼の左手が小刻みに揺れる。

口がスローモーションのようにゆっくりと動く。


手、繋ぐ?


彼はそう言ったと思う。

日葵が巾着を左手に持ち返る。

右手が空いて...差し出す。

彼の右手が近付く。

指が触れて...指と指の間にぴたりと収まる。

日葵が照れくさそうに笑う。

けど、やっぱり可愛いヒロインだ。

彼は...頬を赤らめながらにこりと微笑む。

そして、淡いオレンジ色の世界へと歩き出す。

吸い込まれていく。