イノセント*ハレーション

それから1週間後。

あたしより2日早く誕生日を迎える日葵を心の中でお祝いしつつ、あたしはバイトまでの1時間を夏祭りに1人で参戦することにした。

といっても、思いつきだった。

2人とばったり会ったら冷やかして差し上げようなんて考えたら楽しくなってしまって、気づいたら去年と同じ道を歩いていた。

浴衣ではなく私服の人もちらほら見かけるけど、女子でTシャツに黒のスキニーという格好の人は見かけない。

白髪のおばあさんでさえ、浴衣をお召しになっているというのに、あたしという人間は風情が無さすぎる。

そんな風情のない人間がやることと言ったら、(というか夏祭りに来たら皆やるわけだけど)ゲームか食べることしかない。

あたしは余ったらバイト先の店長や榎本さんにあげればいいかと思い、スーパーボール掬いに挑戦した。

JKが1人で掬っているものだから、背中にビンビンと鋭い視線を感じていたけれど、なんとか目標としていた直径1.5センチくらいの大きめのギラギラボールを取ることに成功した。

サーファーのように波に乗ったあたしは、リズム良くスーパーボールを掬い続け、結果12個も掬いあげた。

係のおじさんにビニール袋に入れてもらったボールをリュックにしまうと、次は射的をやった。

去年は見る専門だったから、とことんガン見していた。

そのお陰で記憶は鮮明で、その記憶を呼び覚ますと、あたしは迷いなく狙い通りの猫のキーホルダーをゲット出来た。

団地に住んでいなかったら猫を飼いたかったと月に1度は愚痴る祖母のために、あたしはあたしに出来る形で祖母の欲求を少しでも鎮めてあげようと思った。

あたしはそのまま渡されたキーホルダーを無くさないようにキーケースに入れて次の目的地へと急いだ。