イノセント*ハレーション

「みんな、今日は日葵の舞台を見に来てくれてありがとう!みんなのお陰でいつもの100倍...いや、1000倍うまく出来たと思うっ!」

「それは言い過ぎ」

「ほんと、日葵はお調子者なんだから」

「ま、それが日葵の良いところだよね」


みんなから次々に褒められて頬っぺたを熟れたリンゴのように赤く染める日葵。

あたしはその様子を微笑ましく見つめながら、リュックに詰めていたプレゼントを取り出した。

そして、背後から忍び寄り、肩を叩いた。


「わっ!びっくりした~。もぉ、なんだよ~、な~ちゃ~ん」

「これ、日葵にクリスマスプレゼント。あたしクリパ出られないから今渡す」

「うそ~っ!日葵なんも用意してなかった!ありがと、な~ちゃん!」


日葵があたしに思いっきり体重を掛けてくる。

この重みがあたしへの信頼の大きさと同じだとするならば...やはりあたしはヒロインにはなれない。

いや、ならない、んだ。

あたしは心から日葵の幸せを願う。

あたしは誰かが笑っている姿を近くて遠い絶妙な距離から見つめているのが好きなんだ。

だから...日葵をずっと見守ってる。

大切なものを失いたくないから、あたしはただ見守るよ。

世界一幸せになっていく日葵のこれからの軌跡を見守っていく。

あたしは、最高の負けヒロインになる。

勝ち目のない恋をしてしまった罰として。