イノセント*ハレーション

そこまで言って、ハッとして顔を上げると彼もこちらを見ていた。

鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。

あたしの心臓がドクンと跳ねた。

予感がした。

大きく変わる予感が、あたしの全身の細胞にシグナルを送ってサーッと鳥肌が立った。

カチカチとうるさいくらいに耳に届く掛け時計の音とグランドから聞こえてくる奇声。

静けさが立ち込めるこの場所が一層重苦しく感じる。

呼吸をするのも躊躇われるほどに静まり返った数十秒の後、先に口を切ったのは弓木くんだった。


「真昼も雨谷もつくづく良いヤツだな。俺と日葵のこと、本当に心配して温かく見守ってくれてるのが分かって...なんか、嬉しい」

「そ...」

「だから...今日とか、そんな急にどうこうは出来ないけど、俺なりに考えてちゃんとその時が来たら伝えようと思う。それまで見守ってて欲しい。日葵の相談役が真昼なら、俺の相談役は雨谷だから。雨谷になら何でも話せるから。そういう存在が居てくれて良かった。ほんと感謝してる。改めてありがと」

「...はずい」

「言ってる方だってそれなりに勇気がいるんだからな。ってか、雨谷が言わせたようなもんだし」

「そりゃどうも」

「いやいや、その返しおかしいだろ?」