イノセント*ハレーション

ミーンミンミン...。

夏の余韻が木霊する中、あたしは水筒を5分に1回口にしながら手に汗握る熱戦を見守っていた。

ドッヂボールであたしが全力を出したお陰で、テニスコートの中愛しい人の後ろで彼が全身全霊のプレーを出来ているならば、あたしはナイスアシストをしたと言えるのだろう。

生憎ドッヂボールは準々決勝敗退となったけれど、弓木くんはその後のダブルスで勝ち進み、決勝戦まで辿り着いた。

相手は優勝候補の元テニス部3年生のペア。

引退したとはいえ、さすが経験者。

動きが素早いのはもちろん、無駄がない。

だから、0コンマ秒遅ければ確実に打ち返せないし、2人の息が少しでもずれれば隙をつかれてスマッシュを打たれる。

そんな緊張の糸がピンと張りつめた試合が延々と続いていた。

ゲームは始めてのマッチポイントから7度シーソーゲームを繰り返している。

いつどちらのペアが勝っても負けてもおかしくない状況。

それなのに、喉は相変わらず渇くので欲のままに身体に水分を送ってあげていた、その時...。