「…ん、」





目を覚ますと、見覚えのない部屋の景色が映った。





知らないベットの上に私は寝ていた。






「え!?ここどこ!?」




急いで起き上がって見るけど、ズキっと頭が痛む。




体調崩してたこと忘れてた。





見渡しても誰もいなくて、目に入るのはおしゃれな観葉植物と、ネイビーのカーテン。





整理整頓されている綺麗な部屋。





さっき香ったホワイトムスクの香り。





私、学校を早退してから、推しそっくりな人と出会って…それから





それから?




それから私どうしたんだろう。




ガチャッーー





開けられた扉。





「…起きてたんだな。熱はどうだ?」





「え、」






その人物を見た途端、頭が真っ白になった。






冷却シートとタオルを手に持つ、その人に目がやられる。



眩しすぎる。




一気に夢みたいにふわふわとしてくる。



「どうかしたか?」



ゆっくりと近づいてくる、"推しに激似"のその人。




いやさすがに一般人だよね?



でも一般人てこんなにオーラあるものなのかな。



身体が硬直して、声もでない。



そんな私のことなんて気にも止めず見つめてくる。



どうなってるんだろ。





そんなわけないよね。







「…もしかして俺たちのファンの子なのか?」





驚いたように言う。




でもその一言で疑問が確信に変わった。


ファンの子ってことは、やっぱり私の目前にいるのはしゅんくんと言うことになる。





しゅんくんが動いてる。





わ、私と会話してる。






推しって生きてるんだ。