「わるい。俺、高梨が戻るまで、こいつといるわ。」



一番近くにいるサッカー部の人にそう伝える、星護。




『了解』と、サッカー部の人の波が去っていく。




星護と二人並んで歩く。小さい頃を思い出すなぁ。



「それにしても馬子にも衣装だな。」



私の浴衣姿を見下しながらいう星護。




「なにその言い方!」





どーせ似合ってないですよーだ!





「本当のこと言っただけだろ。」





ニヤリと意地悪な笑顔。


いつもこうやっておちょくってくる。





「んー、むかつく!」



ほっぺたを思いっきり膨らまして、睨むものの効果はゼロ。




「っ、…てか、花火もうすぐじゃね?」




両側に屋台を挟み、がやがやとした道を歩く。


「うん、そうだね。」




「小さい頃行った高台に観にいくか。」





「あーー!あったよね、花火の穴場スポット。行こう!」




思い出した思い出した。



星護のお父さんに教えてもらった会場から少し離れている花火が見れるスポット。



「足、しんどくね?」



「うん、大丈夫だよ。」




ちょっと歩くもんね。そんなことも心配してくれる。