「実はこれから唐揚げの配達があるんだけどね、おじさんがぎっくり腰になっちゃって。

おばちゃん一人これだけの唐揚げ持ちきれなくって。

配達手伝ってもらえない?うんと、サービスするからさ。」



おばちゃんの後ろには大量の唐揚げが用意されていた。



これを一人で持つのは絶対に無理だよね。



申し訳なさそうにいう鎌田のおばちゃん。




「もちろん!手伝うよ!」



「本当に助かる。ありがとうね。」





そう微笑むおばちゃん。



小さい頃からお世話になってるおばちゃんのお願いだもの。お安い御用だよね。



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「って、配達先ってテレビ局ぅ!?」



ちょっと!私こんな部屋着の格好で来ちゃったじゃん!




おばちゃんの運転する車に乗りこみ、『ついたよー。』と言われて見てみるとテレビ局だった。




"関係者入口"らしきところから、車を入れて地下駐車場に入っていく。





「そうだよ。どこかの俳優さんがうちの唐揚げ気に入ってくれたみたいでね、ドラマの差し入れに今回初めて発注があったの。」





嬉しそうににこにこ話す姿に、つられて笑う。





「へー、おばちゃんとおじちゃんの唐揚げすごい美味しいもんね!」





テレビ局なんてまた会えるんじゃないかって、期待してしまうけど、そんなんわけないよね。