あれから一ヶ月ほど時が経ち、季節はすっかり夏になった。



「莉子〜鎌田のおばちゃんちの唐揚げ買ってきてくれない?」



夏休みに入り、学校もないし、はすみんも部活だし、暑いしでずっと家に閉じこもっている私にお母さんがそう言う。



「んー、暑いもんー」





「もうそんなダラダラして!おつかいくらいしてよ。」





「…わかったよ」




そう言って家を出る。




もう、せっかくシリウスのライブ映像見てたのに。




ジリジリと照りつける日差し。




近所だから、Tシャツと短パンにサンダルで来ちゃった。




鎌田のおばちゃんとは近所のおばちゃんで、小さい頃からお世話になっている唐揚げ屋さん。




今どきな感じのお店じゃないけど、古き良きって感じ。




これがまた世界一美味しい唐揚げなんだ。




いつも大量にサービスしてくれるんだよね。




「あら、莉子ちゃん。いらっしゃい。」




いつも通り、優しく微笑んでくれる鎌田のおばちゃん。



「おばちゃんっ、とりももの唐揚げ500gください。」




「とりもも500ね!…莉子ちゃん、今日時間あったりしない?」



「うん、大丈夫だよ。何かあったの?」