「…ず、ずるい。私もしゅんくんの顔、見たいです。」



そういうと、人が周りにいないか確認して、ゆっくりとうさぎの被り物を取ってくれた。


スローモーションになるその瞬間。



「…やっと顔見れました。」



可愛いうさぎさんの着ぐるみから一変、中のしゅんくんの顔は相変わらずかっこよかった。





嬉しい。ずっとこの顔が見たかった。




愛おしすぎるその顔に、思わず笑みが溢れる。



だいぶ走ってきてくれたのか、少し汗が滴っている。



…そこもかっこいい。




「はあ、もうダメだ。」



ギュッーーー




「っ、え」



もう一度抱きしめられる。



さっきとは違って、着ぐるみじゃないからすごく緊張する。



「可愛すぎる莉子が悪い。」



低く甘い声に、体が痺れるのが分かる。



ああ、もうこんなのだめだよ。



幸せすぎる。




「ゆ、夢、?」





「夢でたまるか。」



"推し"が目の前で、こんなにも私のことを愛おしそうに見つめているなんて。



微笑みかけてくれるしゅんくんは、今までで一番キラキラ輝いていた。