「森本さん、なんでそんなこと知ってるんですか」



「撮影に来た時、白木さん俺の妹と同じ制服着てたから。」



森本さんって妹いたんだ。初めて知った。



「今から行ってくるしかないだろ。瞬行ってこい。」



遠藤さんの後押し。




「俺送りますよ。」



森本さんが珍しく瞬に笑いかける。




「あ、これ持っていけ。」




遠藤さんが瞬に"ある物"を投げつける。




「え、これ。」



それを受け取って、凝視する瞬。




「顔バレ防止だ。絶対バレるなよ。」





「これは逆の意味で目立ちますよ!」



たしかにバレないかもしれないけど、これはこれでめっちゃ目立つと思うんだけど。



「いやうちの妹のクラス、これのカフェするらしいんで意外と紛れると思いますよ。」



森本さんのフォロー。



「ほらっ、行ってこい!」


改めて遠藤さんが瞬の背中を押すと、やっと出口に向かって歩き出す。




「ああ、ありがとう。」



嬉しそうで、どこが恥ずかしそうな表情にこっちまでむず痒い気持ちになる。




「夜の収録までには戻ってこいよー!」



その背中にそう叫んで、俺は次の現場に向かった。


健一side fin