「おい、瞬いいのかよ?りこぽんにもう会えないんだぞ。」




あまりに素直に受けいるものだから、思わず聞いてしまった。



「もういいんだ。シリウスを大切にするって決めたんだ。」



これ以上どう大切にするって言うんだよ。


お前以上に大切にしてるやつ知らねえよ。


これ以上自分を犠牲にして、シリウスを守るのか?



もうちょっと周りに迷惑をかけても良いと思うけど。



「だからって、本気で好きな人まで諦めるのか?」



やっと気づけたのに。


これからだったのに。



「しょうがないだろ。俺たちはアイドルだ、付き合っても普通の彼氏にはなれない。莉子を幸せにすることはできない。」 




「それはお前が決めることじゃないだろ。」



普通の彼氏になれなくたって、それでりこぽんが幸せなんだったらいい彼氏だろ。



恋愛初心者が何言ってんだよ。




「いや、もういいんだ。ありがとうな、健一。」



そう痛いほど弱々しく笑う瞬に、何も言うことが出来なくなった。