「え?それだけ?大好きで大好きでたまらないシリウスがうちの学校にくるんだよ?


『推しが自分の学校に来る世界線何!』とか叫び出すと思ってたんだけど。」



確かに普段の私なら、叫んで廊下に出て、走り回って泣いてたかもしれない。




でも今はなぜか冷静。





「あははは」



「…あんたやっぱり何かあったでしょ。親友の目は誤魔化せないよ?」




「誰にも言わない?」






「うん。」





「じ、実は…この前、」





あの日のことを教室の端でこっそり話した。




「…え?莉子ついに頭おかしくなったの?」





はすみんの顔が険しくなっていく。



「私だって、最初はそう思ったよっ。で、でもどう考えても夢じゃないし、貸してもらったパーカーが残ってるの。」




あの日のことは夢みたいで夢じゃない。




「でも、熱で倒れかけて推しが助けてくれるなんてそんなうまい話ある?そっくりさんなんじゃない?」




「うーーー、それはそうだけど。」



なかなか信じてくれないはすみん。


まあそうだよね。




「じゃあ今度の土日、そのパーカー持って確かめるしかないね。」



『私はいけないけどね』と付け足されてしまった。



…一人で行かなきゃダメなんだ。



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