「ははっ、ダッセーな俺。」
落ち着いてきたのか龍基は顔をあげて笑う。
「ありがとな。」

私のほうを向く龍基。その表情は優しさに満ち溢れた今まで見たことのない表情だった。私はなぜか胸がキュンとする。

(まさか私…。いやそんなわけないよね。ないない。)
初めて見る笑顔にびっくりしただけだと自分に言い聞かせて龍基に
「ううん。私は何もしてないです。」
と言い、同じように笑った。


「家まで送るわ。」
龍基に言われて私は断ろうとしたけど
「俺が言ったことは絶対だ。」
と無理矢理言われて送ってもらう。

(そういえばあの日も同じこと言われたな。)
龍基の彼女になったあの日。あの日と同じ言葉を言われているのに全然違う気持ちになる。

彼女になってほんの少ししか経ってないけど龍基の意外な一面を知れた。

彼女になれたのがよかったとはまだ言えないけど初めより嫌だと思わない。
(龍基の彼女だっていう現実を楽しもう。)
私はそう決意し、早く来いと急かして前にいる龍基に追いついた。