「お前ら何してるの?」


……この声は──拓斗?


なんて間が悪いんだろう?


私たちが家を去ろうとした瞬間に
拓斗が帰ってきてしまった。


「あぁ…
さっきそこで先輩に会ってさ~
話してたところ」


裕也は機転を利かせて
拓斗に説明してくれた。


「そうなんだ…
てゆーかお前ら、知り合いだったんだな」


そんな冷たい声出さなくてもいいじゃない…
拓斗?裕也のこと嫌いなの?


「これから先輩送ってくんだ
そしたら帰ってくるからさ!」



「ふーん」


そう言って、拓斗は家に入ろうとした。


「拓斗!!待って?」


「何?」


拓斗が私を見る目は
いつもと同じ──やさしい瞳だった。