捨てられ聖女サアラは第二の人生を謳歌する~幼女になってしまった私がチートな薬師になるまで~

八年も経てばマニーレ家の庭は立派な宝の山となった。しかし残念なことに料理長はサアラを庇って父の怒りを買い、マニーレ家を追い出されてしまったため、この庭の価値を知るのはサアラひとりだ。
 そんなサアラの努力の結晶ともいえる庭に心ない言葉を浴びせた人物がいる。

「退屈な庭ですね」

 サアラの婚約者となったルベリオ・ヴォーグだ。
 アルダントは十五で成人と認められるが、サアラは成人したその年にいつの間にか婚約者ができていた。

「名はルベリオ・ヴォーグ。最近知り合った取引相手だが、金で爵位を買い男爵になった。どうしてもマニーレ家の娘が嫁に欲しいそうでな。無能でも構わないと言うので了承した。彼には多額の援助をもらっている。いいか、くれぐれも機嫌を損ねるな。最後くらいマニーレ家の役に立て」

 父から告げられたのは最低限の情報で、それが父にとっての自分の価値だと思い知らされた。サアラが最低限の身なりを整えることが許されているのは貴族屋敷の使用人として恥じないため。そして政略結婚をするための道具だったからだ。

(それがお父様にとっての私の価値……)

 伯爵令嬢ではなくなり、メイドとして働きながらもどこかで期待していた。いつか家族として認められる日がくるのではないかと。けれど自分は政略結婚の道具としてマニーレ家から追い出されてしまうのだ。
 サアラよりも五つ年上のルベリオは貴族らしい煌びやかな装いでマニーレ家を訪れた。そしてサアラの都合などお構いなしに庭を案内しろと命じてきたのである。