捨てられ聖女サアラは第二の人生を謳歌する~幼女になってしまった私がチートな薬師になるまで~

「りょうりちょー、おこってくれてありがとうございます。でもサアラはだいじょうぶです」

 父は約束してくれた。自分が働き続ける限り祖母との思い出を奪うことはないと。

(お父さま、おばあさまの部屋はそのままにしておくと約束してくれたもの)

 それだけは義母にも宣言してくれたのだ。家族と呼べる人を失ったサアラにとって、祖母との思い出だけが自分を支えてくれる唯一で、それだけがサアラの拠り所だった。

「どうして魔法薬が作れるのかわかりませんが、だいじなのはかてい? じゃなくてけっか、けっかです。サアラ、さいのうを大切にします!」

 すなわち魔法薬で稼ぐとサアラは言った。
 名案だと幼女は語り、料理長は幼女の決意に涙した。そして自分がこの屋敷に留まる限りサアラの力になることを決める。仕事を世話してくれたソニアにできる恩返しはもうこれくらいだ。
 一般的に薬師となるには独り立ちした薬師に弟子入りし、教えを乞うのが常である。普通は代々家業として受け継いでいたり、強い志を持って門を叩くのだ。しかしサアラが薬師になった理由はなにもかも規格外だった。
 幼女でありながら魔法薬の知識を持ち、それを実行する才能があった。自然の恵みが与える薬草は食事を抜かれた飢えを満たしてくれる。薬草は身体の不調を癒やし、医者にかかる費用を浮かせてくれる。そして調合した魔法薬は高値で取引され、枯渇した実家の財政を救うには最適だったのだ。
 父からは魔法を使うなときつく命じられているため、それは極秘の作戦だった。料理長の協力で種を買い、貴族屋敷の景観を損ねないよう庭に植えていく。幸いマニーレ家の庭師は引退しているため自由に使うことができた。

(この家にはおばあさまとの大切な思い出がたくさん。サアラはおばあさまとの思い出をまもります)