捨てられ聖女サアラは第二の人生を謳歌する~幼女になってしまった私がチートな薬師になるまで~

「これは美味い! 味はもちろんですが、魔法薬特有の苦みがありません。優しい味がして、身体の芯から温まるようです。魔法薬としての効能も体内の魔力が反応しているのでしっかりと付与されているのでしょう。なにより、先ほどまで鈍く痛んでいた頭の痛みが消えています!」

「せいこうです!」

「サアラ様、どこでこのような技術を?」

「わからないんです。そうしたいと思ったらあたまにうかんで、そのとおりにやってみたらできました。サアラもおどろいています」

 すると料理長はなんという才能。これが天才か? と呟いた。

「さすがはマニーレ家のご息女。かの聖女様も魔法薬作りに長けていたといいますし、きっと精霊様の加護でしょう。その才能をどうか大切になさってください」

「大切に?」

「はい。魔法薬作りというのは大人でも難航するものなのです。魔力を持つ者なら理論上作成は可能ですが、魔法をかけることは容易ではありません。調合は難しく、必要な知識が膨大なわりに学ぶ場所もないため薬師の数も圧倒的に少ない。おかげで市場には高額な魔法薬が多く、粗悪な品が出回ったりもするんです。それを才能で作り上げてしまうとはまさに天才の所業!」

「魔法薬はもうかるのですか!?」

「ん? あ、ええ、それは、そうですが……」

 笑顔で頷いていた料理長は戸惑い固まる。真剣な顔で話を聞いていたサアラが注目していたのは『高額な』という部分らしく、自分のせいで幼女にとんでもない発言をさせてしまった罪悪感が襲った。きっとこれもグランツたちのせいだと料理長は彼らに怒りを向けておく。

「エレーヌさまがいいました。もうサアラに使うお金はないそうです。だからサアラは自分でお金をよういしないといけません」

「あんの後妻! 自分たちは好き勝手に散財しておきながら何様だ!」

 先ほどの怒りは冤罪かもしれないが、今度こそ本気で怒っても許されるだろう。新たに伯爵夫人となったエレーヌは好き勝手に散財している。娘のクリスにも気前よく好きなものを買い与える姿を何度も目にした。それなのにサアラに使うお金がない? ただでさえ使用人のように仕事をさせているのに? 信じられないと料理長は怒りに震えた。