「つぎは……おゆがふっとう? えっと、ふっとうは泡がたくさん出て、お湯がぼこぼこします。そうしたら魔法をかけるんです」
サアラは小さな手を鍋にかざし、体内に流れる魔力に意識を集中させる。
(人には魔力があって、魔力をじゆうに使える人は少ないけど、いないわけじゃない)
魔法を使うには体内の魔力を使いたい形にイメージすることが大切だ――と頭の中の声が教えてくれる。
「いたいのが、消えますように」
ハルの実が溶け出したことで液体は美しい赤に染まっている。淡く光を放つその液体を見てサアラの記憶は成功を確信した。
「りょうりちょーにプレゼントです。頭がいたいの、なおりますように」
料理長は時々頭が痛くなることがあるらしい。特に雨の日や空気が変わった時に痛みがあるらしく、これから雨が降りそうなのでもしかしたらと思ったのだ。
サアラはスープ皿に魔法薬を盛りつけて差し出す。
「まさか、サアラ様の手作り魔法薬――と思わしきものを頂ける日が来ようとは。大きくなられましたね」
「むうっ! りょうりちょー、しんじていませんね」
サアラが頬を膨らませると料理長は厨房の天井を仰ぐ。そこにかつての主人の面影を勝手に見ていた。
「ソニア様、貴女のお孫さんはとても立派に成長されているようです。幼い身体で厨房に立ち、本日初めて包丁を握られました。調理台に手が届かず、背伸びする姿のなんと微笑ましいことでしょう。僭越ながら私が台を用意したのですが、ありがとうと微笑みかけて下さったのです。それに比べてグランツ様ときたら! サアラ様が使用人のように扱われても見ないふりとは嘆かわしい。ソニア様がご存命であればさぞお嘆きになられたことでしょう」
「りょうりちょーながいです。はやくのんでください」
「これは失礼。サアラ様の成長に感極まっておりました。どれ――」
一口飲んだ料理長は目を見開く。
サアラは小さな手を鍋にかざし、体内に流れる魔力に意識を集中させる。
(人には魔力があって、魔力をじゆうに使える人は少ないけど、いないわけじゃない)
魔法を使うには体内の魔力を使いたい形にイメージすることが大切だ――と頭の中の声が教えてくれる。
「いたいのが、消えますように」
ハルの実が溶け出したことで液体は美しい赤に染まっている。淡く光を放つその液体を見てサアラの記憶は成功を確信した。
「りょうりちょーにプレゼントです。頭がいたいの、なおりますように」
料理長は時々頭が痛くなることがあるらしい。特に雨の日や空気が変わった時に痛みがあるらしく、これから雨が降りそうなのでもしかしたらと思ったのだ。
サアラはスープ皿に魔法薬を盛りつけて差し出す。
「まさか、サアラ様の手作り魔法薬――と思わしきものを頂ける日が来ようとは。大きくなられましたね」
「むうっ! りょうりちょー、しんじていませんね」
サアラが頬を膨らませると料理長は厨房の天井を仰ぐ。そこにかつての主人の面影を勝手に見ていた。
「ソニア様、貴女のお孫さんはとても立派に成長されているようです。幼い身体で厨房に立ち、本日初めて包丁を握られました。調理台に手が届かず、背伸びする姿のなんと微笑ましいことでしょう。僭越ながら私が台を用意したのですが、ありがとうと微笑みかけて下さったのです。それに比べてグランツ様ときたら! サアラ様が使用人のように扱われても見ないふりとは嘆かわしい。ソニア様がご存命であればさぞお嘆きになられたことでしょう」
「りょうりちょーながいです。はやくのんでください」
「これは失礼。サアラ様の成長に感極まっておりました。どれ――」
一口飲んだ料理長は目を見開く。


