次の日、夕食の支度を終えた料理長に掃除をするからと言って調理台を借りる。傍で心配そうな眼差しを送る料理長には申し訳ないが、サアラは生まれて初めての包丁を手にした。
「これが、ほうちょう!」
明らかに初めて触る人間の台詞である。掲げると、まるで自分が料理人になったような気分だ。調理台まで届かず、台を使っているせいで台無しだけれど……。
しかし発言に反してサアラの手つきはしっかりとしたものだ。最初は不安そうにしていた料理長も一目置き始めている。サアラは次々と小さなハルの実の皮をむき、細かく刻んでいった。
「天才だ……とても初めて包丁を持った幼女の手つきとは思えない。どうやらサアラ様には料理の才能があるようですね!」
「ほんとうですか!? サアラ、料理のさいのうありますか!?」
料理長は数少ない祖母の代から残ってくれた使用人だ。横暴な住人たちに、祖母の代から仕えていた使用人は我慢の限界だと言ってほとんどが辞めてしまった。
顔馴染みの料理長が褒めてくれたことでサアラは嬉しくなる。誰かに褒められるなんて随分と久しぶりだ。
包丁を使いこなしたサアラは鍋で薬草とハルの実を混ぜ煮詰めていく。コンロに埋められた魔法石に手をかざせば幼女でも一瞬で火が起こせるのだ。厨房には甘い匂いが広がっていく。
「ところでなにを作っているんですか?」
「魔法薬です」
得意気に宣言すると料理長が慄いた。
「魔法薬って、サアラお嬢様、魔法が使えるんですか?」
「わかりません。でもいけそうなきがします」
「ええと……本当に? 魔法薬なんて大人でも作るのが大変なんですが」
「サアラはほんきです。じゃましないでくだしゃい!」
とても信頼にたる口調とは思えず料理長は不安になった。
「これが、ほうちょう!」
明らかに初めて触る人間の台詞である。掲げると、まるで自分が料理人になったような気分だ。調理台まで届かず、台を使っているせいで台無しだけれど……。
しかし発言に反してサアラの手つきはしっかりとしたものだ。最初は不安そうにしていた料理長も一目置き始めている。サアラは次々と小さなハルの実の皮をむき、細かく刻んでいった。
「天才だ……とても初めて包丁を持った幼女の手つきとは思えない。どうやらサアラ様には料理の才能があるようですね!」
「ほんとうですか!? サアラ、料理のさいのうありますか!?」
料理長は数少ない祖母の代から残ってくれた使用人だ。横暴な住人たちに、祖母の代から仕えていた使用人は我慢の限界だと言ってほとんどが辞めてしまった。
顔馴染みの料理長が褒めてくれたことでサアラは嬉しくなる。誰かに褒められるなんて随分と久しぶりだ。
包丁を使いこなしたサアラは鍋で薬草とハルの実を混ぜ煮詰めていく。コンロに埋められた魔法石に手をかざせば幼女でも一瞬で火が起こせるのだ。厨房には甘い匂いが広がっていく。
「ところでなにを作っているんですか?」
「魔法薬です」
得意気に宣言すると料理長が慄いた。
「魔法薬って、サアラお嬢様、魔法が使えるんですか?」
「わかりません。でもいけそうなきがします」
「ええと……本当に? 魔法薬なんて大人でも作るのが大変なんですが」
「サアラはほんきです。じゃましないでくだしゃい!」
とても信頼にたる口調とは思えず料理長は不安になった。


