伊「おかえり」



「ただいまー」



伊「吏兎、行くぞ」



あ、まって僕駿先生に付いてたよね、どうするんだろ



「駿先生はどうする?」


伊「忘れてた。俺についてる人いないからさ」



「確かに。どうしよ」



伊「…やっぱり俺に付かなくても、駿ならなんかあっても助けてくれるし大丈夫か」



「そしたらバレるじゃん…」



伊「まず起こさない(発作)のが1番だからな?最近頻度が増えてる。手術も頭に入れとかないと」




「…わかってる」





駿先生が来た



駿「吏兎、行けそうか?」



「もちろん」




駿「莉奈ちゃんを循環器科に送って」




莉奈ちゃんは僕と同じ狭心症を持っている中学生の女の子



小児科に入院しているが循環器科にもいかなければいけない



正直、循環器科に行くとだれかが発作を起こしていることが多く、それを見るのが苦手なんだ、


得意な人はいないと思うけど


僕の場合、自分の発作を思い出して感覚が蘇る、


それがほんとの発作を誘発したり過呼吸になったりする




高頻度でそれを起こすからできるだけひとりで循環器科に行くか、行かないようにしてたんだけど仕事だから行かなきゃ行けないし主治医は駿先生だから一緒じゃないとだめ




あきらめるしかない


駿先生に黙ってもらわないとね



起こったら起こったであきらめる


起こらなかったらラッキーってことで




駿「莉奈ちゃん、行こっか」


莉奈「うん。りとくん大丈夫?」




「…なにがー?大丈夫だよ!」



莉奈「ちょっと顔色悪い気がして」



「莉奈ちゃんは優しいね、でも大丈夫だよ!」



莉奈「駿先生りとくんちゃんとみてあげてね」



駿「まかせといて」






「ついたよ莉奈ちゃん、終わったらまた来るね」


莉奈「うん、ありがとう」






?「あっ吏兎だ!」



「げっ、海瀬先生…」


海「げってなんだ」



「なんでもないです…」




海「駿」




駿「ん?」




海「今から時間あるか?」



駿「莉奈ちゃんを迎えに行くまで時間あるよ」



うわ、



海「おっけい、じゃあちょっとここに居なよ」


駿「そうだな、」



海「手伝って欲しいことがある」



駿「おう、吏兎もどってていいよ」




海「吏兎も一緒に」



駿「はっ?わかるよな小児科の状態」



海「わかってるよ、少しここで休んでいけ」



嫌なんだけど



「嫌です、」



駿「吏兎、休ませてもらったら?」




うー、駿先生に言われたらそうするしかないじゃん



「…はい、」



海「駿は、医局で俺の椅子に座っといて」




駿「??なんで?なんか手伝うよ?」




海「いや、行けばわかる」





看護師「ストレッチャー通ります!!」



心臓発作とみられる男性が運ばれてきた、



医師「オペ室の状況は!」



タイミング悪、




駿「おう、じゃあ吏兎よろしくな」



明日

死ぬかもしれない



いつ発作で緊急手術するか分からない



そう考えてると、動悸がしてきて嫌な言葉だけが頭にのこる



死ぬ


手術


発作



駿「…吏兎?大丈夫か?顔真っ青」



海「っ、!吏兎、大丈夫。深呼吸して」



このまま、発作にうつって手術…


嫌だ、こわい



駿「過呼吸、?でも胸抑えてるし…とにかく海瀬。」



海「あぁ、お前は早く医局行け」



駿「えっこの状況で?」




海「吏兎は大丈夫。ただの過呼吸だ」



駿「…わかった」




海「吏兎、手借りるな」





海「…脈はやすぎる、心臓の負担大きいな」




「僕、しぬ、の、?ハアッ」



海「大丈夫、俺が絶対死なせたりしないから」



「海瀬、せんせ、い」




海「だから、大丈夫だ。ゆっくり深呼吸。吸ってー吐いてー…俺に呼吸合わせて」



「すーはー…」



海「そう、上手だよ」



「海瀬先生、ありがと」



海「うん、やっぱりよくある?こういうこと」



「うん、起こしてる人見ると自分のこと考えて」




海「そっか、循環器科来ない方がいいかな」




「でも看護師やってると絶対居るし、その時にすぐ動かなきゃいけないのに心臓発作だと動けなくなる。こんなんじゃだめだってわかってるのに」



海「そうだよな。俺の意見としては、完治するまで仕事は休んで欲しい。」



「無理」


海「うん。わかってる。吏兎がそういうこともわかってたよ、でも」




「いい、」



海「せめて、他の人に病気のこと伝えろ」



「…わかってるんだけど」



海「言いにくいよな。駿は医局に行かせたけど勘づいてると思う。あいつも一応医者だからな」



「うん」


海「あと吏兎。検診来いよ」



「あ。」



海「つぎやったら連行するぞ」



「はーい」



海「心電図とりたい」



「今から?」



海「うん」



「無理かなー」



海「進行状況確認したいんだよな…ホルター心電図つけてろ」



「わかった」




海「こっちこい。血液検査は今しちゃうね」




「いや!やだ!」



海「こら吏兎。もしかしてこれが嫌で来なかった?」



「ちっちがうよ」



海「絶対嘘だろ笑」



「とにかく!嫌なものは嫌!」



とりあえず逃げよ



走ったら怒られるし…




あ!エレベーターあるあそこまでなら走っても大丈夫だよね?




海「あっおまえっ吏兎!走るな!」





何とか乗り込んだけど早くしまれ!

はやくしないと海瀬先生がはいってくる!



あっ閉まった!



海「吏兎!おい!」




うわぁ、あとが怖い




小児科に戻るか




ってか案外走れるんだな



わりと走るの早いし笑




あっ駿先生置いていっちゃった




♪〜


PHSなった



「はい、小児科の岬です」



海「循環器科の海瀬です。吏兎、お前発作起こしてないか?知らねぇよ?もう。今謝って戻ってくるなら許すけど」


「ごめんなさい。でも戻るのは嫌だ」



海「駿に言う」



「っ、やめて」



海「じゃあ、」



「やだっ海瀬先生知ってるでしょ僕注射系98%失敗されるの」


海「俺がやるんだから大丈夫だよ!」




「はっ?海瀬先生注射系超下手じゃん!」




海「否定はしないけど失礼だなっ!」





「だから嫌なんだよっ!」




海「とにかくもう走るなよ。駿に探すの手伝ってもらうから」



「っ、」



海「お前が悪いんだから。それにどうせいつかは言わなきゃいけない」



「でもいまじゃないっ」



海「んじゃきるぞ」



「ちょっ」




♪〜


またPHS?


「はい小児科の岬です」



駿「吏兎お前」


うわ、ほんとに言ったんだ


「駿、先生」




駿「循環器科来い」




「っ嫌です」




駿「俺が採血するから」




「たしかに駿先生採血上手いけど」



駿「とにかくこい。絶対1発でとるから」




「いーやーだっ」




駿「絶対見つけるからまってろ」


こわっ





あ、通話切れた




何とか逃げ切らないと



ナースステーションで隠れとくか