ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 慎一郎さんは使ったお鍋や洗い物をしてくれる。盛りつけをしている間に、お箸を出してくれたり。

 もしかすると慎一郎さん。案外、俺様ではないのかも。

 料理は、まあまあの出来だったと思う。お店で食べるほどではないけれど、心を込めて作ったから、気持ちは伝わったと信じたい。

 お母様は「大変だったわね。ありがとう。おいしいわ」とお世辞でも褒めてくれた。

 慎一郎さんも満足そうで、よかった。

 かりそめの婚約者は今のところ無事に演じられているようだ。

 無事に食事が終えた頃、お父様のスマホが着信音を立てた。

「――なに? わかった。すぐに戻る」

 電話を切ったお父様はスッと立ち上がる。

「あなた?」

「面倒な患者が来る」

 お父様は、問題発言でテレビを賑わせている国会議員の名前を挙げた。

「うちに入院したいと言ってきたらしい。もともとうちの患者だし、人間ドックで引っかかってはいるからな。とにかく帰る。話はまた後だ」

 お母様も帰り支度を始めた。