ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 愛していると言われて、はからずも胸が熱くなった。これは演技なのに。

 そして事情を知らないお父様は鼻で笑う。

「なに青臭いことを。それで君はどうやって慎一郎を支えると言うんだい」

 私には――。なにもない。

 お父様がニヤリと目を細めて、紅茶に手を伸ばす。

 でも、違う形があると思う。

 慎一郎さんに必要なのは安らぎだと思うから。

「私は心から彼を愛しています。心臓外科医である彼をとても尊敬していますし、彼の精神的な支えになりたいんです」

 さっきのように、彼を抱きしめることはできるから。

 って--あれ。なに言ってんのよ私。



 私の動揺をよそに、お父様の攻撃はその後も続いた。

 慎一郎さんが夕食はどこかでと言うと、お父様は私の手料理が食べたいと言う。

「支えると言うんだ。料理くらいはできるだろう」

 お母様は心配そうに見るけれど、私と慎一郎さんは密かに目を合わせ、うなずき合う。

 こんなこともあろうかと、食材を買っておいたのだ。