ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 それでなくても今の私は少し弱っている。金銭的な不安に、優斗がいなくなる寂しさに、心があえいでいるのだから。あまりからかわないでほしい。

 睡眠の邪魔をしないよう、静かにソファーから離れながら、これだからイケメンは油断ならないと思う。

 ついさっき見せた寂しそうな表情にも、引き込まれそうになった。

 彼の優しさは、見果てぬ夢を見せる悪魔の微笑みで、彼が見せる哀愁は、悪魔の誘惑のようなもの。

 捕まったら底なし沼にハマってしまう。

 危ない危ない。

 プルプルと首を振り、キッチンで作業を再開する。

 後で朝井様が困らないように調味料を入れた小瓶にペタペタとシールを貼りわかりやすくもした。

 慌ただしく過ごすうち、あっという間に二時半。ご両親がいつきてもおかしくない時間なので、彼を起こさなきゃ。

 淹れ立てのコーヒーをテーブルに起き、そっと声をかける。

「慎一郎さん、そろそろ時間ですよ」