ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 ともかく私は軽く息を吸って、正直に両親の離婚の話をした。

「はい。父は──」

 彼は黙って私の話を聞いていた。

 できるだけ客観的に、感情的にならないように父の話をしたつもりだけれど、どうだろう。うまく伝えられた自信はあまりない。

「話してくれてありがとう」

 彼はとても優しい笑顔でうなずいた。

 そんな表情もするんですね。

 お客様とスタッフとしてでははないせいか、今日の彼はいろんな表情をみせてくれる。

「じゃあ、うちの話もしておくね」

 食後のコーヒーを飲みながら、彼は家族の話をしてくれた。

 ひとりっ子で、お父様のご実家は代々お医者さまだという。お母様のご実家は華道のお家元だというから正真正銘のサラブレッドだ。

 すごいなぁ、としか言いようがない。

 でも最後にふと「重たいよ」と言った。

「ご実家の存在がですか?」

「いや、なにもかもがね。まあ、それだけ俺が未熟者なんだろうが」

 慎一郎さん?

 小さく笑う彼が、いつになく寂しげに見えた。