買い物は思ったよりも時間がかかって、戻ってすぐお昼の準備に取りかかった。
手始めに作った料理は、ハンバーグとポテトサラダのほか、千切り野菜のコンソメスープ。
「どう?」
「うん。おいしい。久しぶりの手料理にホッとするよ」
「よかった」
買い物をしている間に、敬語が取れた。
「母は小料理屋で働いていたんです。料理が上手で」
「そうか。ご両親の話を聞かせてもらっていいかな。差し支えなければお父さんの話も」
おそらく彼は、優斗から父の話を聞いている。知らないなら〝差し支えなければ〟なんて言わないだろうし。
優斗がなぜそこまで彼に懐いたのか。プライベートをさらけ出したのか、わかるような気がする。
彼は時々別人のようになる。
今のように穏やかに語りかけられると、すべてを彼に預けたくなるような気持ちになってしまうのだ。
クールな仮面に隠した本当の彼の顔なんだろうか。
それともお医者様だから?



