ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 胸がキュンと疼いたが、この行為に意味はないと言い聞かせた。

 私と朝井様は、一泊二日のかりそめの婚約者だ。

 わかっているのに、このくらいでドキドキと胸の鼓動が暴れてしまうのは、私が男性と付き合った経験がないからに違いない。

 学生時代に少しだけ付き合った人もいるけれど、私が心を開く前に、彼は心変わりをした。卒業しホテルに就職してからは、そんな余裕はなかった。時間も不規則だし、知り合う機会もない。

 ホテリエになり、時々誘ってくるお客様もいるが、お客様とはそういう関係にならないと決めている。公私混同はしたくないから、社内恋愛もしないというマイルールもある。

 となると、出会いはない。

 恋をしたくないわけじゃない。私だっていつかはと思ってはいるけれど……。

 ふと山本先輩を思い出し、気持ちがどんよりと暗くなる。

 恋ってどうやってするんだろう?

「どうかした?」

「あ、いえ」

「弟さん、合格おめでとう」