ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

「フルーツをお出ししようと思うのですが、いかがですか? あと、ご両親が苦手な食べ物とかあれば」

「母はイチゴが苦手だ。父はメロンがだめ。両親ともに手を出さないのはホルモン系、フォアグラも含めてね」

「了解しました」

 イチゴが嫌いとは。聞かなければ買ってしまうところだった。

「俺は?」

 彼は不満げに私を見る。

「慎一郎さんについては知っていますので、ご心配なく」

「じゃあ、俺が嫌いなものは?」

「ニンジンのグラッセ。パクチー。ピクルスのように甘酸っぱいものも、あまりお好きではない。お肉とお魚には好き嫌いなし、甲羅つきの蟹のように手間がかかる食べ物は苦手」

「ほぉー、さすがだな」

 ふふ、当然です。あなたのことはなんでも知っているのですよ。

 彼はなにしろVIPなお客様だからスタッフ全員が目を光らせて気にかけていた。お肉もお魚も好き、お野菜果物はひと通り食べるけれど、ニンジンのグラッセとパクチーは嫌いらしいとシェフが気にしていたのだ。