本を読みながら待っていたものの、あまりに戻りが遅い。さすがに心配になり、ベッドから降りて立ち上がったとき、ようやく優斗が戻ってきた。

「どうしたの? あんまり遅いから心配しちゃったじゃない」

「ごめん!」

 優斗はやけに興奮している。

「それがさ、心臓外科医の先生と話ができたんだ」

「えっ? その先生って」

 まさか――。

「朝井先生」

「どこにいたの?」

「すぐそこの廊下だよ。姉さんの知り合いなんでしょ。お見舞いに来たみたいだけど--」

 慌てて廊下へ出たけれど「もういないよと」優斗が後ろから言う。

「看護師さんに呼ばれて行っちゃった」

「ああーもう、残念」