優斗は首を伸ばしてぐるりと部屋を見回す。

「早く閉めて、入って」

「ああ、うん」

「ホテルのお客様がチップだって言ってこの部屋に移してくれたんだ」

「大丈夫なのか? そのお客さん。ただより高いものはないっていうし」

「うん。それはそうなんだけど。断るにも会えなくて。費用はちゃんとお返しするつもりよ。明日には退院するから」

 どれほど高額かはわからないけれど、二日分なら私でも返せるだろうし。

「優斗、ちょうどよかったお昼食べてなければどうぞ」

 メニューが書かれた紙を手に、優斗は私の食事を見てまたしてもあぜんとする。

 そりゃそうだろう。大部屋のときとは全然違う。大きなエビのエビチリに、カシューナッツと鶏肉炒め物。とて病院食とは思えない豪華な食事だ。

「すごいな。レストランみたいだ」

「私って内臓の病気じゃないからなんでも食べられるしね」



 ふたりで豪華な病院食を楽しんだ後、優斗は売店に行った。