ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 一時間と言ってもは私が選ぶのに手間取ったからで、彼は数着選ぶとさっさとソファーに腰を下ろしてスマートホンを手に私が終わるのを待っていた。

 試着には飽きたのか、私が選んだスーツは結局袖も通していない。

「ああ。問題ない」

 でも、と言いたそうな私の表情を読み取ったのだろう。彼は「正直どうでもいいんだ」と、関心なさそうにため息をつく。

「君の言う通り、着丈の問題もあるから試着はせざるを得ないが、俺はなんでも構わない。興味がないんだよ」

 朝井様はまっすぐ前を向いたまま歩く。本当に関心がないというふうに。

「そう、ですか」

 せっかくスタイルがいいのに、もったいない。

 でも、彼は冷たいというのとは少し違うのかもしれない。

 朝井様はどうやら、自分のことに無頓着なのだ。