ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 私の不安を気遣ってなのかどうかはわからないけれど、ありがとうと心で告げる。

 そして五時半。まだ会えていないスタッフを探していた時だった。

「桜子」

 エレベーターから降りてきたのは山本先輩だった。

「あ、こんばんは」

「この前はごめんね」

「いえ、では」

 と、そのとき電話があった。

 表示されたのは慎一郎さん。

 出ようとしたとき、不意に腕を掴まれた。

「な、なにするんですか」

 彼は私の腕をぐいぐいと引っ張る。

「ちょっと話を」

「やめてください! 山本さん、また酔っているんですか!」

「違うんだ、話を」

 インカムはつけていない。

 咄嗟に靴の踵で、思い切り山本先輩も足を踏んだ。

「イタタタタッ」

 と、そのとき。

『桜子っ! 今何階だっ!』

 スマートホンから声が聞こえた。

「三階です!」

『今すぐに助けに行くから!』

 声を聞いた途端に、勇気が湧いた。

 驚いた声の山本先輩の手を思い切り振り解く。